- 内向型・HSP - 繊細さんのちょっとひと休み

繊細な人が生きやすくなりますように

さりげない優しさが身に染みる

優しさにはいろんな形がありますが

何年経っても記憶に残っている

優しさというのは

案外少ないかもしれません。

 

でも私には

もう随分と時間が経っているのに

今でもしっかりと覚えている

優しさがあります。

 

今つらい状況のさなかにいる人も

多いと思うのですが

少しでもその気分が晴れたらと

私が昔受け取った優しさの話を

したいと思います。

 

──────

 

 

それはさりげない優しさでした。

 

言葉は少なく、

そっとわずかな瞬間の出来事です。

 

高校の部活の帰り道でした。

 

私はスクールバッグを肩に下げ

揺れる電車の中、バランスを保って

立っていました。

 

いつも通りの帰りの電車。

 

でも、

その日の出来事を考えていたら

目からじわじわと

涙が溢れて止まらず

しまいには鼻水もズビズビに

なってしまいました。

 

部活でとても悔しいことが

あったからです。

 

必死に真面目に練習に

明け暮れていたのに

つい最近同じポジションに

入ってきた子に

レギュラーを取られてしまいました。

 

始めたばかりのその子より

実力的にはまだ勝っているはずなのに。

 

真剣に打ち込んでいたからこそ

本当に悔しくて、

電車の中だというのに

涙も、おまけに鼻水も

止まりませんでした。

 

周囲の人に何とか悟られまいと

声だけは立てないように必死に

抑えていたのですが、

 

近くにいたサラリーマンとおぼしき

男性がすっと私にあるものを

差し出してきたんです。

 

男性の手には

ポケットティッシュがありました。

 

はっきりと何か言葉を

かけてもらった記憶はないのですが

 

黄色いパッケージの

ポケットティッシュだったということは

今でもなぜか鮮明に覚えています。

 

私は恥ずかしさに震えながらも

涙と鼻水が止まらない状況で

ありがたくそのポケットティッシュ

いただきました。

 

ポケットティッシュを差し出してきた

男性はそのあともこちらに

過度な声かけや干渉はしませんでした。

 

本当にさりげなく

ポケットティッシュ

差し出してくれた。

 

ただそれだけの優しさでした。

 

でもそのさりげない優しさが

ありがたかったんです。

 

大人になった今でもずっと

記憶している優しさです。