誰かの思考をレンタルしてみたい
誰でも思考の偏り、歪みが存在します。
これまでの環境や経験から醸成された個々の思考は、オリジナリティに富んでいます。
ただそれは自分にとってはずっと慣れ親しんできた当たり前の思考でもある。
だからこそ、ほかの人はどんな思考回路で普段何を思い、何を考えているのか知りたくなりませんか?
私はそんな時、誰かの思考をレンタルしたくなるんです。
1泊2日くらいで誰かの思考をレンタルして、自分じゃ考えられない思考を体験してみたい。
そうしたら、同じことを何度も掘り返して不安になる心配性なこのネガティブ思考もアップデートされるかもしれないという期待を込めて。
ところが現実問題、誰かの脳みそを一時的に借りるなんてことはできません。
ただ、近しいことはできます。
誰かの綴ったエッセイや、小説などを通して、自分とは別の誰かの思考を少しばかり垣間見ることができるんです。
そこには、共感できるもの、なんだかモヤッとするもの、不快だなと感じるものなどいろいろありますが、
私はこの時、モヤッとするものや不快だなと感じるものに注目するようにしています。
そこに自分の思考の偏り、歪みを見つけ出せそうな気がするんです。
"モヤッとするのは、自分の考えが唯一正しいと感じているからこそ、反対意見を聞いて耳障りが悪いのではないか?"
"不快を感じるのは、あるべき態度という一方通行な理想を持っているからではないのか?"
こうして問いかけることが、自分の思考の偏りや歪みに気づくきっかけになります。
思考の偏りや歪みはどうしたって起きます。それ自体は別に悪いものではありません。
大切なのは、自分が偏っている、歪んでいると気づいていることなのだと思います。
それを自覚できれば、他人の偏りや歪みにもいくらか寛容になれると思いませんか。
みんなどこかしら思考は偏っていて歪んでいます。
そんな大勢の人と生きる社会なので、ぶつかり合いが起きるのも当然。
だからひとりひとりがもう少しだけ個々の思考に寛容になれると、今までよりちょびっとばかり生きやすい環境になるのかな、と思います。